頑張ろうと思う話
勉強や仕事を続けてきて良かったと思えるような日が稀にある。
その瞬間にはぶわーっと腕に鳥肌が立つ。
今日は数ヶ月ぶりにそんなことがあり本当に嬉しかった。また頑張ろうと思う。
よいホテルの条件と、取り憑かれることについて(メモ)
「ホテル・ニューハンプシャー」の終わりの方にでてきた、父さんが語る「よいホテルの条件」は、自分が心理士として人に関わるとき目指したい役割と似ているように思った。また読み返せるように、ここにメモしておきます。
「つまり、わたしはどうしても誰かに話を聞いてもらう必要があったんですが、気持ちの整理がつくまでは、何もかも話さなくてはいけないとは思いたくなかったんです。そしてここのいいところは、誰も強制しないことです。どういう気持ちをもつべきだとか、どういうふうにすべきだとかいう人は誰もいません。むしろ、ひとりではなかなかそういう気持になれないのを、もっと簡単にそうなれるように手を差し伸べてくれるのです。わたしのいうことがわかっていただけるかしら」と、シルヴィアは言うことだろう。
そして父さんは言うだろう、
「むろん、あなたの言うことはわかりますよ。何年もこの仕事をしていますが、それこそよいホテルの資格というものです。つまり、空間を提供するだけなのです、それから雰囲気をね、みなさんが必要としているものにふさわしいような。よいホテルというのは、空間と雰囲気を何か寛大なもの、おもいやりのあるものにするのですーーーよいホテルは、みなさんがそれを必要としているとき(そしてそのときだけ)みなさんに手を触れる、あるいはやさしい言葉をかける、そういったような意思表示をするのです。良いホテルは、つねにそこにあるけれど」父さんは野球のバットで彼の詞と歌の両方の指揮をとりながら言う、
「しかし、まとわりついていつも監視しているというような気持は決して与えないものです」
「そうですね、そのとおりだと思いますよ~どういうわけか、全部わたしから引き出してしまうんだけど、それが決して力づくじゃないんです」彼女たちは言うだろう。
「さよう、決して力づくじゃないんですよ」父さんは同意する。「よいホテルは何ごとも強制しないのです。わたしはそれを共感空間と呼びたいですな」
(中略)
「それに」とシルヴィアは言う、
「ここはみなさん親切です」
「さよう。それこそわたしの気にいっているよいホテルの条件ですよ!」
「もし第一級のホテルに部品として、こわれた部品としてくるなら」父さんはとめどなく続ける、
「その第一級ホテルを発つときには、ふたたびもとの完全な姿になっている。わたしたちは完全に元どおりにして差し上げる、しかしそれはほとんど神秘的な形で成しとげられるーそれがわたしのいう共感空間なんでねーなぜならふたたび元どおりになるよう強制することはできないからです。自分なりの方法を作り上げていかなくてはなりません。わたしたちはその空間を提供するのです」「空間と明りを」
それから、もうひとつ参考になったのは「取り憑かれる」ということについてもメモ。
ボブ・コーチは最初からそれを知っていた。取り憑かれなければいけないし、しかもそれを持続しなくてはいけないと。開いた窓の前で立ち止まってはいけないのだ。
これは主人公の祖父の忠告。取り憑かれなければいけない、それはなぜなのか。取り憑かれたような人はときどきみっともない。けれどもとにかく立ち止まらない。そのおかげで知らない間に、もっと大きな恐ろしい影(自分の中にあるもの)から逃げ切れるのかもしれない。
期限、まとめて
図書館で借りていた本の返却期限が来ていたので残りの3冊をどうするか。ちょうど春休み。いつもより時間に余裕はあるが、することも沢山ある・・・。これまでに読めなかったということは、今無理に全部読むこともない。何となく本に申し訳ないが、ざざっと読んで判断することにした。
・河合隼雄さんのエッセイ「猫だましい」
−>猫にまつわる本とたましいについての考察。読み始めるとすごく面白い。でも今回は「ざざっと読み」と決めてるので、気にならない章はとばす。
−>結果:宮沢賢治の猫出演作の立て続け解説が素晴らしかった。「セロ弾きのゴーシュ、猫の事務所、どんぐりと山猫、注文の多い〜」の4作について。
−>更に:猫絵本解説も良かったなあ。特に「百万回生きた猫」の解説。いつもながら、河合隼雄さんに解説してもらうと、色々な児童文学作品群がなぜあれほど自分の心をひいたのか、そのときどんな役割を果たしてくれてたのかということがわかる。
−>読みたくなった:「空飛び猫、綿の国星、猫と庄三と二人の女」−>早速Amazonで古本を注文したら綿の国星が届いた。すんごく面白い。
・「マシュマロ・テスト」
−>ウォルター・ミシェル博士の長期に渡る実験結果を分かり易く書いてある。報酬を先延ばしにする実行機能がどんな役に立つか、どのように育てることができるかということが報告されている。
−>すでに7割ほど読み終えていて面白かったので最後まで読んだ。心理学や科学、研究することを実際に社会でどう役立てるかについても学ぶ。
・「世界のすべての7月」
−>ティム・オブライエンの小説。読みかけてほおっておいたんだけど、ちょっと気になって別の章を読んだら読めた。群像劇だった。またとばして読みやすそうな章を読む。訳者あとがきを読む。
−>結論:うん、面白いけど、また飛行機とか乗るときに通して読もう。
それにしても、図書館便利だなあ。