止めてくれるカンガルーがいないので
小学生の頃から読書が好きで学級文庫(って今もあるのかな?クラスに置いてある本)は全部読んでいた。
同じく読書の好きなT君と、よく本の情報交換をしていた。
T君はりんごの木の下の宇宙船、とかいう(題名あやふや)物語が好きで、あれを読めと勧めてくれたので読んだ。最初はごく普通の暮らしをしている少年なのだが、カンガルーが出てきて宇宙船が出てくる。確かカンガルーがしゃべる。
その宇宙船に乗った少年はお腹が空いたという。文明のすすんだカンガルーは小さいクラッカーとか、まめつぶみたいな食べ物をすすめる。
なんだこんなものしかないのか、、、と少年が口に放り込もうとするとカンガルーが大慌てで止める。そんなにいっぱい口に入れちゃ、あぶない、ひと口かじるんだ。
少年が訝しく思いながらも一口かじると、濃厚なスープの味が口全体に広がる。うわっ!と思い別の豆をかじるとこちらはオイルサーディン。よく焼けた肉の味、アイスクリームまで、、、。みたいな話。
物語に出てくる食べ物って本当においしそう。今日これを思い出したのは、
お昼にこのお弁当をもらってたべたから。
で、右下の星なんですが、生麩かこんにゃく的かみごたえの、やや水っぽい味を想像して適当に口に放り込んだんです。りんごの木の下の宇宙船の子くらい無防備に(止めてくれるカンガルーがいなかった)。
もぐもぐ、飲み込んで、ボンッ、うわっ!って何というか、喉越し辺りで、濃厚さが爆発したみたいになった。
何これ?!と思ってお品書きをみたら
「伊勢海老の固形スープ」
ですって。
そこで、私はやっと気が付いたんです。
時代はもう未来なんです。
文明はすすんだんです。
気を引き締めた私は、
2個目の星を、もう少し慎重に食べました。