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旅、ごはん、歌、臨床心理の勉強など興味のあることと、考えたことの記述

SSちゃんからの手紙

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大学を卒業し、保育所で働き始めて2年目くらいの秋に、

姉Sちゃんが第一子を出産した。

 

Sちゃんは里帰りしてきてて、前日夜に旦那さんと一緒に病院へ行ったのは知っていたんだけど、朝起きたら生まれたと連絡があったということで、私は出勤前にその病院へ寄った。季節は今くらい、秋。午前7:00前だったと思う。

 

Sちゃんと赤ちゃんはまだ分娩室にいて、なぜか看護師さんが待ってましたとばかりに「はいはいはいこっちこっち」と通してくれたので、分娩室で横になってるSちゃんと赤ちゃんに会うことができた。Sちゃん(姉)はきらきらしていた。その赤ちゃんはSSちゃんと名付けられ、たいそう美しく賢い子どもであった。

 

私はSSちゃんと親しくなった。いちどだけケンカをしたこともあるのだが(それは彼女が2才頃のこと、原因は、わらびもちであった)。保育所に勤務しはじめてからというもの、自我状態の一部がはっきりと幼児に同化しつつ成長し直す過程を辿っていた(奇妙な体験であるが、最初の3年間は本当にそうだった。ちゃんと大人の私が仕事はしていたのですが)私にとっては、SSちゃんは姪でもありながら、とても気の合う友達という感じになった。

 

そのSSちゃんが、5才くらいのとき、家族の都合で外国に引っ越した。

まだ引っ越して間もない頃、頭の上に麦の穂を持った男の子と女の子の絵を描いて送ってくれた。左利きの彼女は、右から左に手紙を書いたようで

 

かすできんげわちにんこ 

さだくてくおおんどう

てくろしもおわんえす

すでょしばみすいい

 

という文章が添えられていた。

これはつまり

1 元気ですか?

2 うどん送って下さい

3 面白くていい住み場所にいます

 

ということを言っているのだった。彼女は想像力も創造力もたくましいのだが、同時にとてもプラクティカルな人間なのだ。

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(麦の穂と男と女:SS画)

今考えるとあの麦も、うどんのことを想って描いたのかもしれない。