犯罪理論を整理1.サザランド 分化的接触理論
大きく分けて二つの視点がある
1.社会・文化的要因
2.生物学的決定論
である。
まずは1,社会・文化的要因から。
・社会構造や,社会という文脈と個人の相互関係を犯罪要因と考える考え方である。
・犯罪をする者もしない者も,同質な者であり,社会構造や社会との相互関係が異なるのみ,という考え方に基づいている。
ーサザランド(Sutherland, E.H.)ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー
分化的接触理論(diffferential association)
@犯罪行動は学習されるもの(訓練を受けた,影響を受けたもののみが犯罪をする。遺伝しない。)
@犯罪行動は,他者との相互作用の中で,主にグループの中で学習される。
@学習内容には,技術・動機・衝動・合理化・態度の特定の方向性(法規範を自分にとって都合がよいとみなすか,悪いとみなすか,その意味付与のこと)
※大学生に当てはめて考えてみると・・・
・一般的には,大学生は社会規範に基づいて行動する(決められた日数だけ学校に通い,決められた単位を履修するなど)
・大学生が犯しやすい犯罪に関してのみ,学習するということがあり得るかもしれない(薬物,いじめ,集団レイプなど)
・大学生において,犯罪的接触パターンは,非大学生に比べて,少ないと考えられる。
・大学生において,つつがなく大学生活を送っている者は,非犯罪的パターンからの隔絶は少ないと思われる。
・大学生においては,中立的なパターン(犯罪に+でも−でもない行動)の経験が最も多い(授業,クラブ活動,就職活動など)と考えられる。
ー>つまり
大学生は,犯罪をしにくい集団であると考えられる。
但し・・・
@分化的接触は,その頻度,持続度,開始時期,接触強度によってさまざまである。
−>つまり
・長い休みになにをしているか?とか,大学のランク,学部,ゼミ,所属する集団により,分化的接触は異なる。
・ひきこもりなど大学に行きにくい学生,バイトや遊びを優先する学生,など中立的なパターン(一般的な大学生活)に接する度合いにも大きな差があるかもしれない。
→大学進学率の増加から,大学も大学生の生活も多様化しているため,一律には考えられない。
@犯罪行動は,欲求や価値によっては説明されない(欲求や価値は'呼吸'のようなものである。それによって遵守行動も規律違反も起こり得るから)。
ーサザランド(Sutherland, E.H.)ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー